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「90分ごとの休憩」は本当に効果的? 自分に合う集中サイクルの見つけ方

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「90分ごとに休憩すると集中力が続く」という説。その根拠は睡眠研究から始まりましたが、実はすべての人に当てはまる万能ルールではありません。「90分ルール」の科学的真実を解き明かし、固定時間に縛られず集中力の切れ目を見つけて生産性を最大化する方法を、具体的なステップで解説します。自分だけの最高の集中サイクルを見つけましょう。

「90分休憩」は本当に効く?

結論からお伝えすると、昼間の仕事や勉強で「90分ごとに休む」と言われるのは、睡眠の約90分周期を手がかりにした目安に基づきます。

ただし、すべての人に当てはまる正解とは言えません。集中が切れるタイミングには個人差があり、課題の種類や時間帯によっても変わります。一方で、休憩を挟むこと自体は多くの研究で有益と示されています。本稿では、「なぜ90分が広まったのか」「研究結果はどうなっているのか」「仕事や勉強でどう試すと安全か」を整理します。


90分休憩の基礎知識――睡眠研究の数字が、日中の働き方に広がった

「90分」という数字が語られる背景には、まず睡眠の周期があります。眠っている間は、レム睡眠とノンレム睡眠を約90〜120分の間隔で行き来します。言い換えると、「1時間半前後の波がある」ということです。この睡眠の波は、古くからの研究で繰り返し示されてきました。

次に、覚醒時にも波があるのではないかという発想が広がりました。平易に言えば、「起きているときも1〜2時間のあいだで注意や覚醒の高低が揺れることがある」という考えです。専門用語では超日リズム(ウルトラディアン・リズム/ultradian rhythm)と呼びますが、ここでは「体内の短い波」と考えてください。

近年では、こうした波は一定の間隔に固定されず、状況によって長さや現れ方が揺れると説明されています。

この睡眠に由来する数字体内の短い波という着想は、やがて働き方のヒントとして広まりました。たとえば、ハーバード・ビジネス・レビューでは「午前のはじめに90分の集中時間を置き、その後に短い休憩を入れる」と繰り返し提案しています。ブログメディアでは、Bufferの解説記事が、90分前後の作業ブロック→休憩の作り方を図と具体例で紹介し、多くの読者を集めました。

重要なのは、これらの提案が「集中が落ち切る前に、短い休憩で回復する」という実践的な考えに基づくことです。

「90分」入口の数字に過ぎず、本人の状態に合わせて前後させる前提があります。実際にクリス・ベイリーは、午前は長くても90分で一度休む、一日の合計では働いた時間の20〜25%を休憩に回すという比率の目安を示しています。これは、時計の分数に縛られすぎない工夫と考えられます。

では、なぜ一律の時間にこだわらないほうがよいのでしょうか。集中には体調や睡眠の質、前日の疲れ、食事のタイミング、環境の騒音、対人の緊張など多くの要因が影響し、日によって揺れます

同じ人でも、考えを生み出す作業仕上げる作業では頭の使い方が違います。前者は途中で視点を変えると進みやすく、後者は流れを切らないほうがよい場面が増えます。作業の中身が違うのに、固定時間を機械的に当てはめると目的と手段が入れ替わるおそれがあります。

だからこそ、集中する時間はあくまでも目安にとどめ、きりのいいところを見て休憩するほうが続けやすくなります。


「90分が最適」とは言い切れない

ここでは、昼間の「90分ごとに休む」という考えについて、研究で分かっていることと、まだはっきり言えないことを説明します。ここで出てくる「波」とは、起きているときに起こる「集中しやすさ」や「頭のさえ方」の上下のことです。

まず、睡眠中には約90〜120分のリズムがあることが知られています。しかし、起きているときまで同じように、きっちり90分ごとに集中が上下するとは限りません。研究ではたしかに波が見られても、間隔は状況によって伸び縮みし、ときには現れないこともあると報告されています。

起きているときの作業成績を長時間追った実験では、集中の上下が約80分の人もいれば、約96分に近い人もいるなど、作業の種類や人によって違いが出ています。別の研究では、90分のような規則的なリズムを見つけられなかったという結果もあります。つまり、「誰にとっても90分が最適」とは今のところ言えません

この違いは、その日の体の状態に左右されます。寝不足かどうか、前日の疲れが残っているか、食事のタイミングや血糖の上下、気温や騒音、気持ちの張りつめ具合などが影響します。脳内環境は日々変わるため、同じ人でも毎日同じ長さの「波」になるとは限りません

では、「90分ごとに休む」というすすめ方は間違いなのでしょうか。そうとは言えません。休憩を入れること自体は、疲れをためにくくしたり、作業のムラを減らしたり、翌日も取り組みやすくしたりする効果があると、多くの研究が示しています。ただし、「最適な間隔が90分だ」という決定的な証拠はまだないのが現状です。要するに、休憩は必要だが、ベストなタイミングや長さは人や場面によって変わります。

言い換えると、睡眠の「90分」という数字は出発点の目安としては役に立ちますが、昼の作業にそのまま当てはめて「正解」にしてしまうのは危険です。「90分だから休む」ではなく、「自分の集中が落ち始めたから休む」と考えるほうが、研究の説明にも合っています。参考:集中力の持続は「止め方」で決まる

たとえば、ある日は110分くらい気持ちよく進むことがあります。このときに機械的に90分で止めると、せっかくの良い流れを自分で切ってしまいます。別の日の午後は60分で集中が落ちるかもしれません。その場合は、90分まで我慢せずに区切ったほうが賢い選び方になります。大事なのは、自分の中の「波」=集中の上下を観察し、合図に合わせて休む姿勢です。


よく読まれた紹介記事が広めた考え方――「働き方の目安」としての90分

一般の読者のあいだで「90分ごとに休む」という考えが広がったのは、内容が分かりやすい記事がたくさん出たからです。

国際的に有名な「ハーバード・ビジネス・レビュー」の連載では、朝のはじめに約90分のまとまった作業時間を置いて大事な仕事を進め、そのあと短い休憩を入れるというやり方が紹介されています。ここで伝えたい考え方は、集中が落ちきる前に短く休み、頭と体をすぐ働ける状態に戻すということです。

同じように、Bufferの解説記事は、読者がまねしやすい手順と図を使って、「90分前後で作業」→「短い休憩」という流れをわかりやすく説明しています。休憩は「ただの気分転換」ではなく、次の時間帯でも集中を保つための準備だと位置づけています。つまり、後半の質を守るための投資という考えです。

個人の実践例としてよく読まれているのが、クリス・ベイリーのブログです。ベイリーは、午前中は長くても90分で一度手を止めること、そして一日の合計では働いた時間の20〜25%を休憩にあてることをすすめています。これは「何分で区切るか」という固定の分数にこだわるより、全体のうちどれくらい休むかという割合(比率)で考えたほうが、その日の体調や仕事量に合わせやすいという考えから来ています。

日本国内でも、一般向けの記事や本の紹介で「90分前後で区切る」という話をよく見かけます。たとえば大学の授業が90分であることや、仕事では疲れきる前に休むという基本的な考え方がよく取り上げられます。ここでも「90分」はあくまでだいたいの長さとして示され、細かい理由や条件まで深く説明されないことも多いようです。

ただし、こうした紹介記事は忙しい人の背中を押してくれる一方で、「90分に達していないから休まない」という自己ルールを作ってしまうと、自分の体から出る合図(集中が落ち始めたサイン)を見逃すことになります。TIMEの一般記事でも、「およそ90分ごとに15分休む」という説明は、あくまで一つの案として書かれており、絶対の正解とはされていません。


仕事と勉強で実行する休憩の入れ方

大切なのは、決めた分数にしばられず、「休憩の比率」と「切れ目」の二つで考えることです。ここで言う「作業ブロック」は、連続して集中して作業する時間のこと、「休憩ブロック」は、その後に入れる短い休みのことです。「切れ目」は、あなたの集中が落ち始めた合図や、作業のまとまりがついた地点のことを指します。

まず、比率についてです。目安として「一日の合計作業時間の20〜25%を休憩にあてる」と覚えてください。たとえば、90分作業したら15〜25分休む、60分作業したら10〜15分休む、といった配分です。長く働いたら、その分だけ休みも増やすという考え方にすると、無理なく続けられます。

次に、集中力の切れ目についてです。特別な道具は必要ありません。

あなたが「同じ文を何度も読み返してしまう」「簡単な判断に妙に時間がかかる」「打ち間違いが続く」といったサインに気づいたら、そこが切れ目です。時計が90分を指していなくても、その時点でいったん止めて、短い休憩ブロックを入れてください。再開がぐっと楽になります。

仕事に取り入れる場合は、午前中に「やや長めの作業ブロック(たとえば70〜100分)」をひとつ置き、午後は「短めの作業ブロック(たとえば40〜60分)」を複数回す形が扱いやすくなります。会議や連絡が多い日は、空いた時間に短い作業ブロックを差し込むだけでも、全体の手応えが変わります。仕上げや検収が中心の日は、一本の作業ブロックをむやみに長くしないことで、判断の精度を保ちやすくなります。

勉強に取り入れる場合は、記憶を固める作業と、考えを組み立てる作業を分けて考えます。

暗記の直前と直後にはごく短い休止をはさむと、頭の切り替えがスムーズになります。論述や作図のように、途中で止めると再開しにくい課題では、作業ブロックを少し長めに取り、終わりにしっかり休むほうが進みやすくなります。ここでも、固定時間を設定するより、あなた自身の集中力の状態を優先してください。

具体例を挙げます。受験生が英語の長文読解に取り組むなら、最初の30分でウォームアップをし、次の50分で集中が乗ったら、さらに20分だけ続けて、合計100分で区切ります。そのあと20分休憩と少し歩いてリフレッシュします。

次のセクションは60分に短縮し、語彙の復習にあてます。大事なのは、「90分に合わせる」のではなく、「流れに合わせてタスクを調整する」ことです。

最後に注意点です。集中が乗っているときでも、長時間の連続作業は翌日の体力を削りやすくなります。「各作業ブロックの集中時間」と「その日の総作業時間」を分けて考え、合計の中で休憩の比率をきちんと確保してください。とくに長時間働きがちな人ほど、このやり方の効果がはっきり表れます。


よくある誤解と注意点――“万能の正解”にしない

  • 「90分が科学的に最適」とは言い切れない:睡眠の数字は確かでも、昼の作業で一律の最適値が検証されたわけではありません。見えているのは「そのくらいのスケールで波が出ることがある」という段階です。
  • 「誰でも同じ」ではない課題の種類時間帯で、続けやすい長さは変わります。午前は長めが合う人でも、午後は短めに分けるほうが楽なことは自然です。
  • 「90分×何セットが正解」ではない:体調や睡眠不足、気温、対人の負荷などで、その日の切れ目は動きます。分数より切れ目を優先し、比率(20〜25%)で全体の休憩量を調整します。

もう一度要点をまとめると、「90分が正しい」のではなく「90分前後の範囲で、自分の切れ目に合わせて止めるのが安全」です。


はじめて試す人の三つのステップ――二週間で“切れ目”が見えてくる

  • 二週間の簡単な記録:作業の開始・終了、途中で感じた集中力が切れたときのサイン(視線の逸れ、読み戻し、ミス・あくびが増えたなど)をメモします。長さが70〜120分のどこに集まるかを大づかみに見ます。
  • 午前と午後を分ける:午前は集中セクションをやや長め、午後は短めの複数に分けるなど、時間帯で作りを変えると日内のむらを吸収しやすくなります。
  • 比率で調整する働いた時間の20〜25%を休憩に回すと覚えます。分数より合計の配分を意識すると、無理なく続きます。フロータイムテクニックは最適な方法ですし、休憩時間が短くてもいい場合はポモドーロを試すのもありです。

この三つを続けると、自分だけの“切れ目の地図”が見えてきます。ある人は午前9時台の終わりに、別の人は昼食後の14時台に、同じような合図が現れやすいと気づくはずです。そこに合わせて予定を置く。これが、数字よりも確実に効くやり方です。


よくある質問

以下は、「90分休憩」に関してよく出る質問を、Q./A.形式でまとめたものです。研究で確かなことと、実務での扱い方を分けて答えています。

Q. 「なぜ“90分”なのですか?」
A. 睡眠では「約90~120分」で浅い眠りと深い眠りが入れ替わることが古くから知られています。この数字を手がかりに、起きている時間にも“およそ1~2時間で注意の波があることが多い”という見方が広まりました。ただし、覚醒時にきっちり“90分”で刻まれるとは限りません。目安として使うのが安全です。

Q. 「90分ごとに必ず休むべきですか?」
A. 必要ありません。集中の途切れるサイン(視線が外れる、同じ文を読み戻す、簡単な判断に時間がかかる、ミスが増える)が出たら、その時点で区切るのが現実的です。時間はあくまで目安です。

Q. 「90分が長すぎて持ちません。どうすれば?」
A. 60~80分で集中力が切れる人も珍しくありません。自分のパターンを見つけるため、2週間ほど「作業時間・主観的疲労・ミス数」を簡単に記録し、いちばん集中力が途切れやすい長さに合わせて調整してください。

Q. 「休憩は何分がいいですか?」
A. 正解は決まりません。扱いやすいのは比率です。作業時間の20~25%を休憩に回すリフレッシュ効果が実感できるはずです。フロータイムテクニックもおすすめです。(例:90分作業なら15~25分、60分作業なら10~15分)

Q. 「午前と午後で作業ブロックの作り方は変えたほうがいい?」
A. 多くの人で午前のほうが長めのブロックを取りやすく、午後は短めを複数にすると負担が少なくなります。自分の調子の谷(昼食後など)を避ける配置にすると安定します。

Q. 「ポモドーロとどっちが正解?」
A. どちらが正しいではなく、適する場面が違うと考えてください。集中力の立ち上がりに時間がかかる深い作業は長めのブロック(最大90分目安)が向き、細切れのタスクは短いサイクルはポモドーロが扱いやすいことがあります。併用してかまいません。

Q. 「集中力が落ちたときのサインは何を見ればいい?」
A. 代表的なのは次の3つです。
 1) 視線が外れる・同じ文を何度も読む
 2) 判断が遅い・単純な選択で迷う
 3) ミスが増える・打ち間違いが連続する
いずれかが出たらいったん離れる合図です。

Q. 「2週間の自己計測は何を記録すれば?」
A. 開始時刻/終了時刻主観的疲労(0~10)小さなミス回数の3点で十分です。後から見て切れ目が集中する長さ(たとえば70~120分のどこか)が分かれば目的達成です。フロータイムアプリでは今すぐタイマースタートと自動記録が使えます。

Q. 「まとめると、最初の一歩は?」
A. 次の順で十分です。
 1) 2週間だけ記録(作業長・疲労・ミス)
 2) 午前は長め/午後は短めで組む
 3) 比率20~25%で休憩量を確保
この3点で、
“90分”を正解にせずに使いこなす
土台ができます。

まとめ

「90分」という数字は睡眠の研究から来た目安です。けれど、昼間の作業中に起こる集中の上下は、人やその日の体調、作業の内容によって変わります。つまり、いつも同じ90分になるわけではありません

休憩を入れること自体は良いという結果はたくさんあります。ただし、最適な間隔が90分だと決まった証拠はまだないので、「90分だから休む」ではなく、自分の集中が落ち始めた合図でいったん止めると考えてください。

運び方の出発点としては、作業→短い休憩の流れを作り、一日の作業時間の20〜25%を休憩にあてると覚えると使いやすいです。たとえば90分作業なら15〜25分、60分作業なら10〜15分休むといった配分です。あくまで目安なので、その日の調子に合わせて前後させてください

一日の質を守るには、午前はまとまった時間で進め、午後は短めの単位に分けるなど、時間帯に合わせて組み方を変えるのが無理のないやり方です。こうすると、その日も翌日も動きやすくなります。

参考情報

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